ブログにも我が家にも遊びに来てくださるobabaさんのおばさまが素晴らしい詩集を出していらっしゃいます。
一度お会いしましたが、会話の中でも言葉の使い方を吟味してらして素敵なんです。
とてもユーモアがあって上質なブラックジョークもお上手、この詩集で、私が気に入ったのはこちらの詩でした。
「窓の外を」 奥津さちよ詩集 (編集工房ノア)定価2000円
「窓の外を」
わたしの 窓の外を通ってあなたは、行ってしまった。
今朝、きゅうりがたくさん採れたので、事務所の二階に届けたら
そのことがわかった。
あなたがどうして公園に夕方の散歩に出てこなくなったのか
そのことがわかった
答えなくてもよかったのに
あのときあなたは
ためらいながらちいさく答えた
それから行ってしまった
どこか北の方へ
答えなくてもよかったのに
黙っていてもよかったのに
あなたが閉じこめていた苦い秘密
わたしにもある秘密
明かし合わない そのうつくしい距離で
ずーっと いつか
生きていれば
秘密は うすくひかって
すこしわかるから
それでよかったのに